
さて、エビングハウスの忘却曲線に代表されるような、効果的に長期記憶を作る方法論も今では広く浸透し、学校や塾・予備校もそれを活かした復習スケジュールを取り入れ、指導しています。
しかし、私の経験上それでも効果が変わらない、記憶が苦手だという生徒も大勢居り、実はその多くがそもそも短期記憶が出来ていないことに気が付きました。短期記憶が出来ていないのにそれを長期記憶にすることなど不可能です。
ですから、記憶が苦手な生徒はまず短期記憶の形成を目標にしましょう。方法はいたって簡単。今まで一日後や寝る前に行っていた「一回目の復習」を、その授業(予習)中、それもなるべく早いうち(理想は一分後)に行ってしまうことです。
単語のようにそもそも一つの記憶に一分掛からないようなものであれば、二個やったら一個戻るというような形で復習すれば良いですし、「江戸時代の文化」のような広い範囲で勉強するときも、なるべく細かく区切りを入れ、まさに三歩進んで二歩下がる意識で復習を挟んでいくのです。詳しくは後述しますが、記憶は「覚えよう」とする時ではなく「思い出そう」とするときに作られるものなので、覚えたことをなるべく見ずに再現するようなアウトプット型の復習が理想です。
確かな短期記憶の形成が土台に有って、初めて長期記憶の道が開かれます。三歩進んで二歩下がる。まさに受験の厳しさを表すようで気持ちのいい言葉では有りませんが、結局はそれが合格への近道になります。受験は人生のようなもの、、そんな名言もより一層響いて来ますね(笑)